![]() <第2章 うりづん学派> 2.動物の生態レポート <第1集 猫> |
| 私たち「うりづん日記動物生態研究会(通称うりづんネコ研)」では、動物の生態を永年調査してきましたが、今回その成果を順次公開し、未だ知られざる動物の生態について報告していくとともに、動物愛護の精神を大いに高揚せしめんとするものであります。 第1集では、犬とともに人類最古の交友関係を有する猫を取り扱います。 今回報告する事例は以下の通りである。 ●歩行 walking 一般に、ネコ科の動物は森林をその生息地としてきた歴史が長く、そのために地上を歩くことは不得手とされている。ネコ科特有の、前後肢の着地点を重ねるという歩行法はその証拠である。(→事例1、2) ●睡眠 sleeping 生物である以上、猫も眠る。 この報告を待つまでもなく、猫の寝相が悪いことはよく知られているが(→事例3)、時には事例4のように狭隘な地形を好んで寝床とすること、また手近な物体を枕代わりにすること(事例5)が確認されている。 (補追1)目覚めた後に欠伸をするのは(→事例23)ヒトとの共通点も指摘されるところである。 ●避暑 staying without heat 猫は、その毛皮と脂肪により暑さに弱い。それゆえ涼しい場所を発見する能力に長けており、涼しければ、それがコンクリートの上であれ土の上であれ、きれい好きのプライドを捨ててその場を占有するのである。 夏場には、一般に〔ひかげぼっこ〕とも称されるこの事例が人間社会の片隅でしばしば目撃される(→事例6、7)。 (補追2)事例を追加報告(→事例26)。 (補追3)事例を追加報告(→事例27)。 (補追4)事例を追加報告(→事例28・29)。 ●冷却 cooling 避暑と関連して見られる行動に、冷却が挙げられる。自分の身体を舐めることで体毛を濡らし、それが乾く際に発生する現象(気化熱現象、水が蒸発する際に熱エネルギーを消費することで周辺の温度が下がること)を利用しているのだが、これがいわゆる「ネコ臭さ」理由の一つとなっている(→事例8)。 ●掻痒 rubbing 人間の場合、痒いときは手で掻くのが通例である。 猫の場合、通常は後肢を用いることが一般的であるが、特殊な事例としてはこのように患部に噛みつくもの(→事例9)、背中を地面にこすりつけるもの(→事例10)などがある。 ●反応 response 一般的に、猫は外的刺激に対して反応する際、このように一旦動きを止めて(→事例11、12)その正体を見定めようとする傾向にある。これが、犬に比して道路上で轢死する割合が高いことの理由であるともいわれている。 (補追5)事例を追加報告(→事例24)。 同様の反応は外的刺激に対してのみならず、身体接触のような直接刺激についても見ることができる。事例47、48、49、50、51(事例48・49、50・51は連続撮影)では頚部付近への身体接触に対し、後肢が反応している様子が確認されるが、本事例以外にもさまざまな部位における反応行動の報告も未確認ながら見られるようであり、今後の課題といえよう。 ●邂逅 encounter 幾千年にわたる交流の末、猫は人類に対する接触方法を確立した。その高度に洗練された一連の作法を、連続写真によって解説する。 第1段階:猫は人を見かけるとまず、身体を手近な物にこすりつけて自分をアピールする(→事例13)。 第2段階:次に、出来るだけ目を合わせないように近づいてきて様子を探り(→事例14)、 第3段階:危険がなさそうなら、人の足先のにおいをかぐ(→事例15)。 第4段階:そこではじめて、人の目を見る(→事例16)。この時、人が目を細めたりきゅっとつむると、猫は安心する。決してにらみつけてはいけない。大きな物音や急激な動作もいけない。 第5段階:友好関係が成立すると、お腹を見せる(→事例17)。 ●鎮座 staying 猫はとても気高い。決して床に直接座ろうとはせず、床に敷いてある、あるいは落ちているものの上に座る(→事例18、19)。 しかし、そのような場合でも狭隘かつ不安定な場所を好んで選ぶことがある(→事例20、21)のは事例4と共通しており、きわめて興味深い。 (補追6)事例を追加報告(→事例25)。 (補追7)事例を追加報告(→事例30)。 (補追8)事例を追加報告(→事例42)。 ●行儀 a table manner 猫の気位の高さを物語るもう一つの事例として、食事に関するものがある。どんなにおなかが空いていても、彼らは自分から食事を要求することはしない。席につき、給仕達が支度を整えて差し出すのをただじっと見つめるのだ。(→事例31)。 ●按摩 massaging 猫は飼い主など、親しい者の体を前足の先をつかって、ぐにぐにと押すことがある。 一般に「もみもみ」と称される、この行為については、果たしてどういう意味があるか、明確な説はこれまでの所ない。 ただ、一般的には、要求があるときに、相手に注意を喚起させるために行うものと解釈されている。つまり、人間に対し、空腹なので食べ物が欲しいとき、相手(人間)が寝ていると、その上に乗っかって、ぐにぐにと前足で体を押し、アピールするということである。 しかし普段猫は、要求があるときには相手の目を見て鳴き声を発するなど、声で訴えるのが普通である。単に甘えているだけという意見もあるが、甘える場合においては、頬から後頭部、さらには胴体を相手にこすりつける事が普通である(さらに、その勢いのまま寝転がって床の上をゴロゴロと回転することもある)。これは人間が寝ていても同様であるが、「もみもみ」とは異なる。 上の2説を融合して、甘えつつ要求するという意見もあるが、確実とは言えない。 ここでは、猫同士で「もみもみ」を行っている(→事例22)。上の2説で考えると、後者の「甘えている」方が理屈に合うが、両者には上下関係があって、座っている上位の者に対し気を遣っている(あるいはごまをすっているよう)とも思える。 個を基本とする猫は普通、縄張り内で一匹で活動するが、人間社会と密接な場合、猫同士の縄張りも重なり合う。そのため、猫にも強弱の差がでる。下の猫は、ボス猫に従わざるを得ない。そういう上下関係の中で現れた場面であろうか。 密接な関係によって生じるストレスを解消するために、他者(人間も含む)と体をふれあう行為が、「もみもみ」なのかもしれない。 「もみもみ」 果たしてこの行為にどういう意味があるのか、さらなる研究が待たれるものである。 ●甘え depending 猫は、自分が世界の中心にいるケモノだと思っているので、普段はプライドが高く、孤高を保っているが、時々、人間に甘えることがある。猫好きがたまんなくなるときである。本章ではその甘えについて以下のように分類した。 1、食事をねだる depend on dishes 通常、猫にとって人間は、自動給餌器か、せいぜい餌を作る同居人にすぎない、という説は巷間でよく知られているが、空腹時に甘えると餌にありつけることを経験的に知っている猫は、人に甘えることがある(→事例32)。なお、これは飼い猫に限らず、野良猫でも同様である。 2、なでてもらいたい depend on rubbing body 猫は顎の下や背中などをなでられると気持ちいいらしい。子猫の時に親になめてもらった時の安心感や、性感的なものもあるらしい。そのため、暇なときや気が向いたときは、なでてもらいたくて寄ってくることもある(→事例33)。この場合、なでるとひっくり返ってお腹を見せたり、そのままごろごろと回転したりする。 3、くつろぎたい depend on relaxation のんびりしたいとき、猫は人間のそばに寄ってくることがある。くつろぎたければ一人でくつろげばいいのに、わざわざ人間の近くにやってきて、もたれかかったり、座っている膝の上、寝ているお腹の上、仕事をしている机の上などで寝そべったり、顔の掃除とかを始める。これも、甘えの一種と見て良いであろう。 なお本事例は連続写真によって解説する。 第1段階:最初に、人間を見て着座。相手が安心できそうかを判断する(→事例34)。 第2段階:さりげなさを装い、背中を掻く。この間さらに相手を観察する(→事例35)。 第3段階:危害を受けないと判断すると、やや気を許し、寝転がる(→事例36)。 第4段階:いよいよくつろぎ、顔を掃除し始める(→事例37)。 第5段階:すっかりくつろいだ状態。回転したりする(→事例38)。 この間、撮影者はまったく何もしてない。 4、遊びたい depend on playing 老猫には見られないが、比較的若い猫には、じゃれて遊びたいが故に、人間に甘える場合がある。この場合、猫同士がやるように、かみついたり、蹴ったり、追いかけっこをしたりする。慣れてないうちは、思いっきりかみつくこともあるが、慣れてくると、人の顔色を見つつアゴの力を強めたり弱めたりという高度なこともする。 本事例も、連続写真による解説である。 第1段階:なでるとじゃれつく猫(→事例39)。 第2段階:飽きてきた(→事例40)。 第3段階:あっさりとやめて去る猫(哀)(→事例41)。 いずれにしても共通して言えるのは、猫の基準で行動していると言うことである。猫が甘えたいときに甘えるのであって、人間の都合など関係ない。人間が猫なで声でさわっても、気分の乗らないときは迷惑げに離れていく。こういうとき、人間は往々にして、かまってほしくて猫に甘えたりする。 もう一つ言えることがあるとすれば、甘えれば人間は猫にめろめろになって弱くなると言うことを、猫は十分に熟知していると言うことであろう。すなわち、人間は猫に利用されているわけであり、それもまたよし、と思ったりするのが猫好きの猫好きたるゆえんであり、それこそ、猫と人間がこの数千年、共生関係を築き得た最大のファクターであるといえよう。 ●登頂 climbing 人類という、自分たちにとってもっとも都合の良いパートナーを発見して以来、安穏と繁栄とを享受してきた猫だが、しかし彼らは肉食獣という誇り高き出自をもつ動物であり、折に触れては先祖の過ごした高みへと登り、自らの誇りを再認識しようとする。 これが、猫が高いところを好む理由なのである。(→事例43・44・45・46)。 (平成17年6月18日) |