うりづん日記電腦版

<第2章 うりづん学派>

8.セイジカ分類研究
 
地球という惑星は、ヒトサルというアミノ酸分子系生物が占有階級種族として棲んでいる。この生物は、二足歩行し、知能レベル第6級の段階にあり、大小無数の社会的コロニーを形成して陸上の様々な場所に生息している。詳しくは、『銀河の生態系/巻14:地球−ヒトサル』を参照していただくとして、そのヒトサルには、いくつかの亜種がいる。代表的なものとして、コロニーの一つ、ニホン巣に棲息する「セイジカ」というヒトサルの亜種を分類してみよう。参考に、ニホン巣に棲む一般的なニホンヒトサルからみた解説を附記する。
 
分類名(界・門・綱・目・科・属・種)
名 称特 徴ニホンヒトサルから見た解説
 
コクセイ界脊索動物門哺乳綱サル目ジバン科カバン属キンコバン種
血族議員主に国会地帯に棲息する動物で、父親のナワバリを受け継ぐ特徴を持つ。基本的には父系種族。ナワバリを専門用語で「ジバン」といい、彼らが主に使う道具を「カバン」と呼び、彼らの力の元となるものを確保しておく個体奴隷種「キンコバン」を抱える。この3種類を代々受け継ぐ社会様式が彼らの生態の特徴である。たまに「キンコバン」が跡を継ぐ場合がある。いわゆる二世議員と呼ばれる。一般国民からはしばしば批判の対象とされるが、これは血統主義が民主的ではないという観念から出たもので、知識人を自称する人々の自己正義の証明の一つとして使われる手法に影響を受けている。彼ら知識人の指摘するとおり、血統によって有能性が受け継がれるという考えはたしかに非科学的ではあるが、それは有能でない、と言う意味ではない点について、知識人は見落としていると言えよう。つまり、二世議員・三世議員でも、優秀な人材が出ないとは限らない、ということだ。もちろん、それだけの理由で血統主義が絶対正しいというのは愚の骨頂である。単に血族であるが故を持って批判するのではなく、その個人がどれだけのことを為しているのか、それを持って批評をすべきである。もっとも、親のあとを継いだだけで偉くなった気でいる議員もいるわけだし、組織と派閥がものを言う政界なので、個人の行動を批評の基準にすると大半は落選だろう。
 
ゲーノー界脊索動物門哺乳綱サル目ギョウカイ科メディア棲息属タレント種
タレント議員成体爛熟期には「ギョウカイ」と呼ばれるゲーノーメディア地方に棲息しているが、同地帯は生存競争が激しいため、縄張り争いに敗れると地帯の外へと出ざるをえなくなる。それら個体が、国会地帯に棲息するセイジカのナワバリに寄生して国会地帯に生息地を定めたもの。ヒトサルが社会生物であることを如実に示している。いわゆるタレント議員。芸能界で人気を失った芸能人がなる場合が多い。時に芸能界での人気に当て込んだ権力欲からなる場合と、メディアによく出ることが、自らを知識人と勘違いするようになって政治家になる場合もある。いずれにしても、本人は芸能人であるより、国会議員としての地位を高く評価し、出世したと考える傾向にあるが、一般国民がタレント議員という場合は、軽蔑の意味が含まれている。このことは芸能界時代にはわかっていたはずなのに、国会に席を移すと理解出来なくなる。政界の世間から隔絶された中に於いては、議員達との関係がいわば村社会のようなものであり、そこに存在を得た時、脳内の「バカの壁」が世間評を遮断してしまうのであろう。なお、優れた知識・才能を持つ芸能人は、国会議員になる事はほとんど無い。政党はタレントの人気評をアテにして推薦する。民主主義の愚用例といえる。
 
スポーツ界脊索動物門哺乳綱サル目体動科終動属タイイクカイケイ種
スポーツ議員タレント議員と近い種。政体爛熟期にはスポーツ地帯に棲息し、活発に活動しているが、個体力による活動期がそれほど長くないため、すぐに地帯での居場所は若い個体に奪われてしまう。多くの場合、地帯の周囲で新たな生息環境を作るのだが、それがうまくいかない場合、生存のために国会地帯へと移るものがいる。国会地帯はおおむね個体力の弱い種が多いため、まだ活動出来るのである。必ずしも多い種ではないが、国会地帯での絶滅の危険性はいまのところ少ない。スポーツ議員もまたタレント議員の一種と見なされやすい。スポーツ選手は人気の職業でメディアにもよく出るからだろうし、能力という意味でのタレントということもある。ただし、芸能人系タレント議員とは少し意味が違う。というのは、スポーツ選手は、引退後に必ずしもつぎの仕事に就けるとは限らない事情があるからだ。体が資本である以上、年齢的に引退は早いし、かつ他の仕事の経験も少ない。景気が悪いと企業はスポーツを見捨てる傾向がある。それらの事情は考慮に入れる必要がある。ただ、国会議員になる元スポーツ選手は、どうも目立ちたがり屋の傾向が強いようだ。この点ではまさにタレント議員の一種である。体育会系的ノリで、強行採決などの時に活躍するほか、スポーツが万国共通であるため、平和活動などをアピールすることが多い。それらの活動の政治的効果については、疑問も残る。政党の推薦は、タレント議員と同じ理由からであろう。
 
チホウ界脊索動物門哺乳綱サル目地力科メーシ属シュッセ種
地方名士議員様々な地方に棲息し、唯一巣の中央コロニーにだけいないという種。地方で競争に打ち勝ち、強いナワバリを築いた後、その力をもって国会地帯へと進出する。政治地質学的に見て国会地帯の創世紀、制限紀、翼賛紀、自由紀、など長期にわたってこの種は国会地帯に勢力を広げ、国会地帯で得た権利を出生地帯に還元する活動をしてきた。しかし、最近この種は減る傾向にあり、学界では稀少種に指定する動きもある。地方の実業家、地方議員などから中央に進出するタイプの国会議員。いわば地方から国へ出世するというわけだ。自ら乗り出していくタイプと、国会議員から誘われるタイプとある。もともと地元の要望を代弁する「代議士」としてはまさにうってつけだったわけだが、地元利益誘導というやり方は、汚職や無意味な公共事業など弊害も多く、批判を招くようになる。国家経済が傾いている時も、この弊害が声高に叫ばれるため、バブル崩壊後の長期不況の中で、地方名士をアピールするタイプの議員は減った。しかし地方名士の二世議員などが「利益誘導」を表だって言わずに出てくる例もある。
 
ロウドウ界脊索動物門哺乳綱サル目左翼科クミアイ属闘士種
組合系議員ヒトサルには、働きビトという種類があるが、それらの種類は、時に集団で統一行動をすることがある。これを専門用語で「ロウドウウンドウ」というが、これを指揮するタイプの働きビトがいる。それらは時に国会地帯のセイジカと共存関係を築くものがおり、やがて国会地帯で活動するようになる場合がある。一時期多かった種だが、最近は他の種に押されて数が減っており、絶滅危惧種に指定されている。赤い色を発したり、赤いハタと呼ばれる器官を振り回して敵を威嚇する種類が多い。その時、語尾が間延びした鳴き声を発することがある。組合系議員は、左翼系の政党や団体の指導を受けて、労働運動ばかりしていた”闘士”が、国会に活動の場を移したものである。もともと労働運動は労働者が権利を主張するために行っていたのだが、共産主義の高揚期には、労働はしないで権利を主張するタイプの組合活動家が増えた。労働に関わらないから、実際の権利を求めることより、政治運動化していくわけで、労働者のための社会を作ると称し、革命などと叫んで、国会にも出るようになる。が、そもそもから労働者や一般市民と立場が乖離しているので、うまくいくわけもなく、共産主義の衰退と共に減っていった。比較的穏健な路線に変更した組合出身者が若干残っている程度である。過激な思想は、個人の抑揚によるところ大きく、大衆運動とはなりにくいこと、共産主義に限らず何でもそうである。
 
コクセイ界脊索動物門哺乳綱サル目セイトウ科セイトウ属セイトウ種
政党系議員国会地帯をはじめ、セイジカとよばれる種は、集団を作って活動することが多い。地理的ではなく、社会的ナワバリである。これを「セイトウ」というが、この集団に早くから属し、その集団のために働きビトのような役割で活動している個体が、その力を認められて国会地帯へと生息域を移すのがこの種族である。どちらかといえば赤い色を好む傾向にある。どれも似たような鳴き声を発するため、慣れないと個体の識別が難しい。政党の党員として活動し、のちに議員となるタイプ。これは政党の組織の強固さと比例するため、比較的全体主義的な傾向のある右派・左派政党に多く、中間の自由系政党は党員の思想がバラバラだからあまり見られない。党の支部、青年部、機関紙記者などを経て地方の選挙に出馬し、それから参議院、衆議院と移っていく。党への忠誠心、生真面目さ、派閥、党内政治能力などによって出世する。政党の主張の生きたスピーカーであるから、もちろん党代表らの言っていることをそっくりそのまま主張し、しゃべり方もそっくりであることが多い。党首と比較してみると結構おもしろい。
 
ブンカ界脊索動物門哺乳綱サル目チシキ人科カンチガイ属ヒケラカシ種
知識人系議員この種は、独自の鳴き声で他の個体に打ち勝とうとするヒョウロンカ、ベンゴシ、ガクシャなどとよばれるチシキ人という動物の亜種で、チシキ人はヒトサル社会の中に時々いるが、特に国会地域に棲息したものを指す。頭がよく、鳴き声をうまく使って、相手を魅了し支配しようとする。国会地域では一種の敬意的位置を占めるが、実権はないことも多い。ヒトサル社会全体でも敬遠されて孤立することが多い。知識と理論で主張することを生業とする職業の人、すなわち評論家、学者、弁護士などが、自らの能力に勘違いして国会議員になるタイプ。その視野、理論、研究範囲の種類と広さは、人によってまちまちだが、いずれも自分の頭の良さを認識しているところは共通である。しかし、大体こういう人は社会とうまくやって行けてないことに気づいていないと言う欠点がある。良くいえば、自ら光を発する人が、その光で自分の様子が見えていない、と言うことになるが、単純に言えば知識オタクだからだ。それでも社会に関わっている内はまだ良いのだが、よりによって国会議員になったりすると、能力の多くは無駄に終わってしまう。国会は適材適所という言葉がほとんど意味を成さない地球上でも珍しい場所と言える。
 
シソウ界脊索動物門哺乳綱サル目閉脳人科ハイタテキ属コダワリ種
思想、宗教系議員ヒトサルには、排他的な集団を組む種族もいる。内向的社会型生物の特徴を見せたもので、本来外向的社会型生物であるヒトサルの奇妙な亜種と言えよう。これについては研究が待たれるが、その内向社会型ヒトサルにも国会地域に棲むものがおり、それがこの種である。彼らは彼らの社会の共通ルールをヒトサル社会全体へ広めるために活動するが、内向的社会型生物であるのに、外向的社会型生物的行動を取ろうとするところがまた奇妙である。さらに他の種には穏便な従属を求め、自らは従属を求められるとひどく攻撃的になり、とにかく矛盾した種である。種類によって独自のハタという器官を振り回したり、細かくうるさい「リロン」「リクツ」という鳴き声による闘いを求めたり、「イノリ」「オキョウ」といった鳴き声を前足をすりあわせながら鳴いたりと、一般のヒトサルとは少し違う行動を取る。思想系政党や宗教系政党の議員は、その思想や宗教を一般国民に広めるための手段として国会に籍を置く。もっとも、日本の一般大衆は、特定の思想・宗教の支配を本能的に警戒する傾向にある。だから、思想・宗教系議員の活動はおのずと失敗に終わるわけで、議会制度が出来て以来、特定の宗教が支配した例はない(※)。そのため、思想・宗教系議員は徐々に大衆政党系議員へと変化していくようになり、母体宗教は弱体化すると同時に一般化するようになる。
(※…国家神道・大政翼賛会などがそうではないか、と言う意見もあるが、全体主義は手段であって、固有の思想ではない。国家神道は神道を利用した全体主義的手法と言えるが、祭政一致には失敗している。またファシズムは厳密には、反共・反ユダヤ・国家主義・国粋文化主義・統制経済主義・人種選民主義などの定義によって思想とされる。当時の日本をファシズムとすれば、それは固有の思想ではなく、全体主義の表現法である)。
 
動物界脊索動物門哺乳綱サル目ヒトサル科セイギノヒト属ジコマンゾク種
市民運動系議員思想系に近いが、特定のルールではなく、ヒトサル社会全体の利益や、重要なことに関わって行動していることを国会地域内でディスプレイする種族。国会地域内に棲息する以前は、実際に様々な行動をしているが、国会地域内に棲息し始めた時点で、ディスプレイ以外を行わなくなる。チンパンジーやボノボと言った高等なサルの中には、実際に闘うのではなく、力や器用さをアピールするだけでグループ内で実権を持とうとする例があるが、それに似ている。人間は、社会の中で有象無象の階級を作る。ふつう階級は固定階級ではなく他の個人や集団との間での力関係に基づいてルールが決まるが、それとは別に、力によらない個人内部での勝手な判断による階級がある。それが「正義」という理屈である。社会的な力関係で劣っていても、自分が正しい人間だと判断すればそれでよい。これを自己満足という。しかし、正しいと思うがゆえに、他人より優れていると思うわけで、これを人に押しつけるようになるとやっかいである。市民運動は良いことをしようというきっかけはともかく、結果的には自分の「正義」にとりつかれて人に迷惑をかけたり、偏狭な思想へ発展したりすることがある。特に国会議員になる場合は、自分が正しいのだから、それを一般に広めようという思想に発展している。実際には、なんの政治的貢献も、国民の利益にもつながってないことが多い。
 
コクボウ界脊索動物門哺乳綱サル目ヒトサル科イクサヒトザル属グンジン種
軍人議員ヒトサルの中には、もともと好戦的なものや、体の丈夫なものがおり、それがコロニーの一画に座を占めてコロニーのために闘う場合があった。兵隊アリとか働きバチと同じで、兵隊ビトとよばれる。普通はコロニーの外に向いている彼らの行動様式が、内に向くことがあり、その力をしてコロニーを支配するようになったりする。国会地帯に棲息するのはこの種であり、多くのヒトサルを自らの代わりに兵隊ビトにして他のコロニーと争わせたりする。ニホン巣に於いては、セカンドインパクト時に外来種と争って敗れ、コーンパイプ種の支配下で固有種は滅んだ。現在の国会には、自衛隊出身者の議員はいるが、基本的に軍籍議員というのはない。旧帝国時代でも、はじめのうちは軍人の政治介入は警戒されていたが、軍隊が確立して安定した地位に就くようになると、政治政策を軍隊有利にしようとして(たとえば予算などで)、軍部大臣現役武官制が成立し、軍出身者や軍部シンパの議員も多く生まれた。それが単に国防予算など組織面だけでなく、戦争の実施にも関わるようになったわけである。その意味では軍隊そのものが統帥権干犯で旧憲法に違反していた。現在は、軍部シンパ的な議員はあまりいないが、軍事に浪漫主義的夢を感じる政治家は結構いる。また政治家による軍事管理は必ずしも出来ていないので、自衛隊に負担をかけるような方法を続ければ、いずれ労働運動的な意味で自衛官(あるいは新制軍軍人)の議員出馬があるかも知れない。


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