うりづん日記電腦版

<第4章 文芸うりづん>

1.マンガに見る歴史


ヨーロッパの作品リスト


 ユーラシア大陸の西端に位置する地域です。全体で一つの半島を形成していると言えなくもないですが、そう言いきってしまうにはあまりにも複雑な構造をしています。
 その複雑な地形通り、一つに包括してしまうのが困難なくらい多様な歴史を有していますが、古代の一時期にはきわめて普遍的な時代を経験してもいます。
 ……まったく複雑ですね(^o^)。


●ヘレニズム時代〜ローマ帝国期

●暗黒時代〜百年戦争期

●大航海時代〜ルネサンス期

●30年戦争〜絶対王制期

●フランス革命〜ウィーン体制期

●帝国主義時代

●アール=ヌーヴォー時代〜第2次世界大戦期


●ヘレニズム時代〜ローマ帝国期

 商業民族ギリシャ人の活動とその後に登場したアレクサンドロス大王の大征服事業によってギリシャ文明は広範に拡大、コスモポリタニズムを形成しました。その文物は対象地域の他民族に大きな影響を与えます。
 続いて登場したローマは共和制を経て帝政へと移行、法治主義によって更なる普遍性を獲得し、多民族を糾合することに成功しました。この帝国の理念は19世紀に入り復活し、「帝国主義」の根本思想となりました。


 中道裕大/浜中明「ソフィアの掟」(共和制ギリシャ、ギリシャ) ★/☆/★
 赤石路代「アレクサンダー大王―天上の王国―」(ヘレニズム時代、ギリシャ) ☆/☆/☆
 岩明均「ヒストリエ」(共和制ギリシャ〜ヘレニズム時代、ギリシャ)
 長岡良子「アキレウスの遺産」(ヘレニズム時代、エジプト/ギリシャ) ☆/☆/☆
 岩明均「ヘウレーカ」(共和制ローマ、イタリア) ☆/☆/★
 内水融「ガリアのヴェル」(共和制ローマ、フランス) ★/☆/☆
 黒田かすみ「シーザーとクレオパトラ」(共和制ローマ、イタリア/エジプト) ☆/☆/☆
 黒田かすみ「アントニウスとクレオパトラ」(共和制ローマ、イタリア/エジプト) ☆/☆/☆
 長岡良子「カエサリオン」(共和制ローマ、イタリア/エジプト) ☆/☆/☆
 あもい潤「レーゲンデ」(帝政ローマ、ギリシャ・イタリア)
 安彦良和「我が名はネロ」(帝政ローマ、イタリア)
 技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」(帝政ローマ、イタリア)

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●暗黒時代〜百年戦争期

 社会の進展にともないローマ帝国は内紛の時代を迎えます。ディオクレティアヌス帝に始まる再生の試みは帝国に活力を取り戻しますが、それはコンスタンティヌス帝によるビザンティウム遷都(これによりビザンティウムはコンスタンティノープルと称されるようになります)に象徴されるよう、社会の中心を東方へとシフトするものでした。しかしそれでも帝国領土のすべてを掌握することは出来ず、4世紀末には帝国は東西に分裂します。
 広大な領土を有したローマは爾来、辺縁民族の侵入に絶えず晒されていました。時代に合わせ巧みにそれらを受容していった帝国でしたが、フン族の移動を契機として起こったゲルマン民族の大移動には対応することが出来ず、混乱の中で西ローマは滅亡します。その後1000年続いた東ローマに比して、西ローマでは長く動乱の時代へと入ります。一旦はフランク王国によって糾合された同地方も、カール大帝の死後は再び分裂、これが今日までのヨーロッパの基本秩序になります。
 一方、4世紀に受容されたキリスト教は、帝国の東西分裂とともに二分し相対立しますが、西アジアで7世紀にイスラム教が発生すると三つ巴の対立になり、11世紀にはついに十字軍というかたちで直接対決します。13世紀まで続いたこの遠征はヨーロッパにあたらしい文物をもたらし、それはやがて西欧社会を大きく揺り動かしていくようになります。


 蒲生総「トゥルーナイト アーサー王と円卓の騎士」(6世紀、ブリタニア) -/☆/-
 ※アーサー王の時代を6世紀とするのは『OSPLEY MEN-AT-ARMS アーサーとアングロサクソン戦争』(新紀元社)に拠りました。
 山田貴敏「エクシス」(9世紀、西ヨーロッパ) ★/☆/☆
 あずみ椋「神の槍」(9世紀、ノルウェー) ☆/☆/★
 青池保子「サラディンの日」(十字軍期、西ヨーロッパ) ☆/☆/★
 青池保子「獅子心王リチャード」(十字軍期、西ヨーロッパ) ☆/☆/★
 山根和俊/定金伸治「クルセイド」(十字軍期、西ヨーロッパ) ☆/☆/★
 山根和俊/定金伸治「ジハード!」(十字軍期、西ヨーロッパ)
 どざむら「水底の天国」(十字軍期、西ヨーロッパ) ☆/☆/-
 神坂智子「カラモランの大空」(13世紀、イタリア/中央アジア/東アジア)
 青池保子「アルカサル―王城―」(14世紀、西ヨーロッパ)
 青池保子「修道士ファルコ」(14世紀、イスパニア) ★/☆/★
 天川すみこ「ジャンヌ=ダルク」(百年戦争期、フランス) ☆/☆/☆
 有村しのぶ「青い牙」(百年戦争期、西ヨーロッパ) ★/☆/☆
 野口賢/佐藤賢一「傭兵ピエール」(百年戦争期、フランス)
 安彦良和「ジャンヌ」(百年戦争期、フランス)
 蒲生総「リチャード二世」(百年戦争期、イギリス)
 蒲生総「ガーター騎士団」(百年戦争期、イギリス) ☆/☆/☆
 蒲生総「光の中の君へ…」(薔薇戦争期、イギリス) ☆/☆/☆
 cuvie「ドロテア 魔女の鉄槌」(15世紀、中央ヨーロッパ)

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●大航海時代〜ルネサンス期

 15世紀末のイベリア半島に於けるレコンキスタ(国土回復運動)の完結と新大陸の発見は、半島の2国イスパニア・ポルトガルをして海外領土征服事業へと駆り立てていきます。両国は世界規模で植民地を獲得、そこから得られた莫大な冨はヨーロッパ文明成長の嚆矢となります。
 片やヨーロッパ内部では、東西貿易を中継することで巨大な富を蓄積したイタリア半島内の諸都市においてギリシャ・ローマ時代の文物を再評価する気運が急激に勃興、それはルネサンス(文芸復興)と呼ばれ瞬く間に全ヨーロッパへ波及していきます。
 その影響はキリスト教にも及び、イギリスでの国教会の成立、ドイツを中心とする宗教改革が展開され、新教派ともいわれるプロテスタントが誕生します。いっぽう、ヨーロッパで勢力の衰えた旧来のカトリック側(旧教派)は、イエズス会に代表される非ヨーロッパ社会への積極的布教活動を展開、キリスト教の世界的拡大をもたらします。


 かわぐちかいじ「心 <cocoro>」(ルネサンス期、イタリア)
 伊藤深雪「神の手」(ルネサンス期、フランス) ☆/☆/★
 かやまゆみ「1500年の禁じられた恋〜ルクレツィア・ボルジア〜」(ルネサンス期、イタリア) ☆/☆/☆
 川原泉「バビロンまで何マイル?」(ルネサンス期、イタリア) ☆/☆/★
 伊藤真美/冲方丁「ピルグリム・イェーガー」(ルネサンス期、イタリア)
 森川久美「花の都(フィレンツェ)に捧げる――」(ルネサンス期、イタリア)
 森川久美「レヴァンテの黒太子」(ルネサンス期、イタリア)
 青池保子「女王陛下の憂鬱」(ルネサンス期、イギリス) ☆/☆/★
 青池保子「エル・アルコン―鷹―」(ルネサンス期、スペイン)
 青池保子「七つの海七つの空」(ルネサンス期、スペイン)
 河惣増巳「サラディナーサ」(ルネサンス期、スペイン)
 山田和重「グラン・バガン」(ルネサンス期、イギリス)

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●30年戦争〜絶対王制期

 宗教改革の余波は神聖ローマ帝国内部において深刻な新旧両教徒の対立を引き起こし、次いでそれぞれの宗派を代表する諸侯同士の対立となり、ついには外国の介入の呼び水となりました。かくしてドイツでは30年にわたる激しい戦争が繰り広げられますが、そのあまりに凄惨な戦禍は国家の枠を超えた法規定の必要性、すなわち国際法の概念を生ぜしめました。
 ところで、中世以来の戦乱は封建諸侯を疲弊させ、国王権力の下への政治的糾合が進行していましたが、その国王権力は法整備、官僚機構の成長、中央直轄軍の形成などの諸要因によってついに絶対王制というかたちで完成します。
 絶対王制下での主たる社会の担い手は都市生活者である市民階級でした。経済活動の活発化はこの市民階級を急速に成長させ、ジェントリ(英)、ブルジョワ(仏)、ヨーマン(独)などと称される経済的に豊かな有力市民たちは、団結して自分たちの権利を国王に要求するようになり、17世紀のイングランドにおいては市民軍が国王権力を倒すまでに至ります(清教徒革命)。
 他方で、国王権力側からの動きもありました。いわゆる啓蒙専制君主の登場です。国王個人の資質によって近代化を進展させていくというこの方法は漸次東へ移り、ロシアにおいて一つのクライマックスを迎えました。この時期からようやく、ロシアがヨーロッパ社会に加わりはじめます。


 イワタヒロノブ「AX 戦斧王伝説」(30年戦争期、中央ヨーロッパ) ★/☆/-
 森川久美/藤本ひとみ「ブルボンの封印」(17世紀、フランス) ☆/☆/★
 池田理代子「女帝エカテリーナ」(18世紀、ロシア)
 池田理代子「天の涯まで―ポーランド秘史」(18世紀〜ナポレオン時代、ポーランド) ☆/☆/☆
 手塚治虫「ルードウィヒ・B」(18世紀、ドイツ・オーストリア)
 福山庸治「マドモアゼルモーツァルト」(18世紀、オーストリア)

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●フランス革命〜ウィーン体制期

 イギリスと違い国王や貴族階級の権力が強かった当時のフランスでしたが、イギリス同様市民階級の権利を求める声は次第に高まりつつありました。そのイギリスでは産業革命によって社会構造が劇的に変化し、資本主義と市民社会という概念が誕生します。それはイギリスの植民地であったアメリカ13州の独立とともにフランス市民の気持ちを更に煽りたて、そのエネルギーはついに1789年、フランス革命という形で爆発しました。その当初こそ穏健的な政策を展開していた革命政府ですが、やがて急進化し、ついに政府は退位していたルイ16世夫妻を処刑するに及びます。それは他の王国、特に王妃マリー=アントワネットの母国オーストリアの反発を招きました。王権諸国は同盟して共和制となったフランスを攻めつけます。フランス市民軍は各地で敗退、窮地に立たされました。
 そんな状況の中、一人の英雄が現れます。コルシカ島出身の砲兵士官だったナポレオン=ボナパルトは市民軍を率いて連戦連勝、フランスの窮地を救いますが、彼は自ら戴冠して皇帝に即位してしまったことで革命の理念に背いてしまいます。それでも、皇帝ナポレオンは新秩序の象徴として欧州を転戦し、当時もっとも先進的だったナポレオン法典を各地に敷延することで革命の成果を欧州各地へ伝えていきますが、スペイン出兵・ロシア遠征の失敗をきっかけに没落、エルバ島へ幽閉された後、再起を賭けたワーテルローの戦いに破れ、歴史の表舞台から退場しました。
 戦勝国となった旧体制側は反動的に市民階級を抑圧しようとしましたが、それは逆に市民革命を誘発することになりました。ウィーンやベルリンでも市民革命が勃発、ヨーロッパでは近代社会が幕開けることになります。


 池田理代子「ベルサイユのばら」(フランス革命期、フランス)
 長谷川哲也「青年ナポレオン」(フランス革命期、フランス)
 青池保子「トラファルガー」(ナポレオン時代、イギリス)
 池田理代子「天の涯まで―ポーランド秘史」(18世紀〜ナポレオン時代、ポーランド) ☆/☆/☆
 池田理代子「エロイカ」(ナポレオン時代、フランス)
 長谷川哲也「ナポレオン―獅子の時代―」(ナポレオン時代、フランス)
 長谷川哲也「1812―崩壊―」(ナポレオン時代、フランス) ☆/☆/★
 やまさき拓味「マレンゴ」(ナポレオン時代、フランス/アフリカ)

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●帝国主義時代

 産業革命による工業化の進展とともに、ヨーロッパ諸国は自国製品売却のために市場を必要とするようになりましたが、その対象は植民地と称される、おもに非ヨーロッパ社会でした。各国――この頃のヨーロッパ諸国を列強とも称します――はその文明構造が内包する膨張原理に後押しされるように、植民地獲得競走を繰り広げていきます。中でもイギリスは、インドを征服した際に国王がインド皇帝位を兼ねたため自らを大英帝国と称しましたが、それがかつてのローマ帝国の理念と合致したこと、および建築力学上の理由から、この時期には再びローマ的な建築様式が流行しました。
 19世紀の後半に入ると、これら列強にさらなる勢力が加わります。相次いで国内統一を果たしたイタリアとプロイセン(ドイツ)です。特にドイツは20世紀に入ると、皇帝ウィルヘルム2世の下で「新航路政策」という、海軍を主軸とした大軍備増強を施行し、更に積極的な植民地獲得に乗りだしました。
 このように遅れて参入した国家の圧迫に加え、オーストリア=ハンガリー帝国内での民族問題と、日露戦争によって東進を阻まれたロシア帝国の西進などといった事態が重なり、ついに1914年、第1次世界大戦が勃発しました。


 氷栗優「ルートヴィヒII世」(19世紀後半、南ドイツ) ☆/☆/☆
 荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」
 ※第1部:ジョナサン=ジョースター(19世紀末、イギリス) ★/-/★
 樹るう「わたしのお嬢様」(19世紀末、イギリス))
 森薫「エマ」(19世紀末、イギリス)
 森薫「シャーリー」(19世紀末、イギリス) ★/★/-
 千葉智美「フィンランディア」(20世紀、フィンランド) ☆/☆/★

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●アール=ヌーヴォー時代〜第2次世界大戦期

 第1次大戦の終結によって多くの王国・帝国は倒れ、帝国主義という時代は一応の終焉を迎えましたが、産業革命以来の「文明」社会の基本構造には何の変化もありませんでした。
 変化は意外なことに、ロシアの地で起こります。日露戦争以来の軍事負担はじめ長年の圧政に耐えかねた市民階級がついに蜂起、強大を誇ったロシア帝国を倒してしまいました。ボルシェビキと呼ばれた彼らは内戦を経て指導者レーニンの下、世界初の共産主義革命を成立させます。
 いっぽう、戦後ヨーロッパ諸国が疲弊した中、かわって台頭してきたのはアメリカでした。植民地なしに莫大な資源を有していたアメリカは、フォード自動車に代表されるマス=プロダクションを武器に自国製品を輸出、空前の好景気を謳歌しますが、やがて疲弊の癒えたヨーロッパの輸出再開もあって市場はついに飽和状態に達し、世界恐慌が発生します。列強はこぞって保護貿易に走り、アメリカではケインズの計画経済理論に基づいたニューディール政策で経済の建て直しを計りました。この時期、共産国家であるソビエトは市場原理に影響されなかったどころか、五カ年計画という国力大躍進政策によって一大大国へと成長します。
 しかし、遅れて競争に乗りだしたドイツ、イタリアなどの諸国は国内に資源を持たず、先の敗戦によって奪われたため(イタリアは戦勝国でしたがもともと少なかったので)植民地という市場もありませんでした。そのため、不況を脱する手段としてファシズム(国家社会主義)に基づいた軍事大国化、すなわち軍需生産への投資による景気回復の道を選択し、その結果誕生した強大な軍事力を背景に市場獲得を強行します。
 このため再び緊張は高まり、ドイツのポーランド侵攻を契機に再び世界大戦が勃発しました(第2次世界大戦)。


 蒲生総「Wallis―ウォリス・至上の恋 永遠の愛―」(20世紀、イギリス) ☆/☆/☆
 荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」
 ※第2部:ジョセフ=ジョースター(20世紀、イタリア/合衆国) ★/☆/-
 浦沢直樹「ZIGORO!」
 ※作中にベルリンオリンピックの描写のある篇があります。(20世紀、ドイツ)
 水木しげる「ヒットラー」(20世紀、ドイツ)
 村上もとか「メロドラマ」(20世紀、フランス) ☆/☆/★
 森川久美「ジークフリート」(20世紀、ドイツ) ☆/☆/★
 手塚治虫「アドルフに告ぐ」(20世紀、ドイツ) ☆/☆/★

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